子どもデザイン教室ブログ
①創造する②やってみる③やり直す
デザイン教室 | 2014.06.10(火) | No Comments
虐待や育児放棄などで児童相談所が一時保護した子どものうち、約半数が再び虐待や育児放棄にあっているという新聞記事を読ました。私がお預かりした子どもたちは殆どみんなお家に帰っているので、あの子たちが辛い思いをしていないか心配です。
記事の中では『児童相談所の対応の失敗』と厳しく指摘されていました。無理をしてでも施設や里親宅に留め置く必要があるのかもしれません。しかし、それには実親の同意が必要ですし、何より当の子どもたちがお家に帰りたがります。
いくら誠意を示しても、子どもにとって里親宅は見知らぬ(恐怖の)他人の家ですし、実親にとっては可愛い我が子を取られるかもしれない(不信の)存在です。もちろんそんな場所ではありませんが、そう見えているのは事実です。
では、どうすればいいのか?記事には書いていません。『児童相談所の失敗』と言うのは簡単ですが、私の知る限り、児童相談所の職員さんは日々、相当の努力と労力を尽くしています。失敗しているのは全体のシステムです。
そこで私にひとつ、うまくいくかもしれない提案があります。それは委託する児童は自宅のすぐ近くの里親宅に委託させるか、実親に引越させるのです。引越はお金もかかりますが、住み慣れすぎた因習を断ち切り、心機一転の好機になるかもしれません。
どうしようもないご実親の場合は別ですが、できれば同じ校区が望ましいと思います。そこで健全に暮らせる里親宅で暫く子どもを育てます。実親には虐待や育児放棄を防止する研修などをします。近所に暮らしているので実親も子どもも安心です。
虐待や育児放棄は精神的、金銭的な影響が大きいので、その面を十分にケアし、研修する必要があります。そして、短期から長期へ徐々にお家に帰してゆき、また、里親宅で暮らしを繰り返し、復帰の時を待ちます。
こうすると、子どもに何か異変がないか里親が随時チェックできますし、逆に里親宅で何かあっても家族、児相、社会、実親という4つのチェックが効きます。何より子どもにとって第3の居場所があるという安心感があります。
私は経験から社会的養護のもっとも理想的な姿は里親養育だと考えます。人が里親で十分に愛情を注げる限度は2〜3人です。施設やファミリーホームでは物理的に限度があります。そこで私は里親の数を増やすことを今後のビジョンにしています。
先日、スタッフの方が『児相のシステムに問題があるのに里親を増やしてもしかたがないのでは?』と質問されました。大阪市内を例に取ると、登録の里親が約100人、実際の里親が約50人、実際に暮らしている子どもが約100人です。
約半分の里親が里親全体をカバーしている計算になります。私が知っているこの約半数の里親さんは、子どもには絶対に冷凍食品を食べさせない、出汁は必ず鰹と昆布でとるというような強者の里親さんが数多くいます(私の所はできてませんが、、、)。
登録だけで里親をしていないお家が約半数ありますが、ご家庭にはそれ時々にご事情があるので、無理強いはできません。そこでたくさん里親を増やし、日本全国に配置しておけば一時保護が必要な時にすぐ近くに避難する相互扶助の関係ができると思います。
ちなみにこの5月、私のお預かりしていた子どもが実家に帰りました。実親さんがすぐ近くに引っ越してこられたので、子どもは学校を変わる必要がありませんでした。今もときどき遊びに来るので私も寂しくなく、安心です。
なかなか苦心したお子さんでしたが、こうして少し距離を置くと、何とも愛くるしい子どもになります。子どもも私を慕ってくれるので、来る度に嬉しくなります。休みの日には銭湯にいって、ご家庭での様子も聞けるので、何かあってもすぐに対応できます。
子どもは一人一人個性が違うし、社会的養護は児童相談所が単独でしている訳ではありません。たくさんの立場が絡み合うので、恐らく解決などしません。でも、誰かが悪いと失敗を論っても問題は隠れたり、余計に悪くなったりするだけです。
では、どうすればいいのか?それは、①創造する、②やってみる、③だめだったらもう一度やり直す、その繰り返しが大事ではないでしょうか?