子どもデザイン教室ブログ
たかさんがお父さんやったら
サポートホーム | 2017.08.01(火) | No Comments
夏休みに入って、施設の子どもが遊びに来ている。ふと「たかさんがお父さんやったらええのに」と言う。「たかさんも○○がたかさんの子どもやったらと思てるで」と返す。実は、私が里親を始めたきっかけは、教室に通う施設のこの子らを自ら育てたいと考えたことに始まる。
しかし、児童相談所がうんと言ってくれず、今では逆に、委託された子どもを子どもデザイン教室に通わせている。すると「△△ちゃんはええな〜」という話になる。隣の芝は青いで、私ごときとの暮らしが良いことばかりな筈もなく、うちの子らも不満一杯で、多分山のようにある。
でも互いにどこかを譲り合い、何とか暮らしている。それは一般家庭も同じで、そこが里親家庭のしんどさであり、また良い所だ。さて、昨日の朝日新聞の「就学前児童の施設入所を禁止し、その75%を里親委託にする」の記事。里親委託率16%の現状を考えると、目標はかなり髙い。
一方で東京のNPO・3keysの森山誉恵氏が指摘するように、里親委託は危険を伴う。大方の場合、里親と子どもは委託当日まで互いがどんな顔かも分からない。これから家族同然に暮らすというのに情報が殆どない。まるで昭和の見合結婚のように、児相は「いい子ですよ〜」を繰り返す。
皆、里親に痛みを感じない仏様であることを求める。しかし、問題が多ければ過酷な精神的苦痛になる。文化も歴史もまったく違う人が24時間365日一緒に暮らすのだ。里親はしんどさを抱え込み、やがて耐えきれずに委託解除になる場合がある。我が家のようにうまくいくのは稀だ。
こうして子どもはさらに深い傷を負う。一方で里親も罪悪感が重く心に残る。こんな思いをするなら辞めようと。こうして里親はいつまでも増えない。そこで提案を一つ。それは子どもデザイン教室のような中間支援機関があれば、里親と子どもの不調は軽減されるのでは?と考える。
子どもデザイン教室に通う施設児童は、長い子で幼稚園から8年になる。一緒に創作活動をすれば、どんな性格か表側の顔も裏側の顔も案外みれる。そんな空間に里親に関心のある人や実親が集れば、不調に終わる場合も少なく、よい縁組みや復縁もできるのではないだろうか。
森山誉恵氏は、地域社会の整備を提唱される。里親が子育てを抱え込むのではなく、子どもデザイン教室のような地域社会機能が、里親と子どもと施設、さらに子どもと実親を繋げれば、相思相愛のマッチングで里親委託の危険は軽減でき、さらに家庭復帰も促進できるのではないか?
そんな独りよがりを考えてみた。