子どもデザイン教室ブログ
子どもの意思表明を支援
デザイン教室 | 2019.09.10(火) | No Comments
長い文を書きます。しかし言いたいことは短いです。それは「子どもの内なる声を引き出すレッスンを開発したので、これを保護者や施設職員、里親に提供する事業を始めたい」です。子どもが自分の声に気付くことで、子どもにとって正しい意思表明をしやすくする方法を開発しました。
子どもと話をするとき「話を聞こう」といいながら、つい自分の意見をいい、子どもは何となくその意見に従う。そんな経験はありませんか?しかし実の所、子どもは単に言い返す言葉がなかっただけで「どうせ無理、よく分からん」と話を終わらせたかっただけではないでしょうか?
それでは課題の解決にはならないし、子どもの本意ではない選択など長続きはしません。では、どうすれば子どもの声が引き出せるのか?その方法を大阪府立大学の伊藤先生、今宮工科高校の井上先生、藤井寺支援学校の藤井先生が開発され、先週の土曜にそのお披露目をしました。
課題は「私の幸福論」。伊藤先生の福祉的な手法、井上先生のデザイン的な手法、藤井先生の国語的な手法が、ものの見事に溶け込んだレッスンでした。幸福という曖昧な概念を主題に、私にとって「幸福とは何か?」を定義し、子どもが各々、幸福について語りました。
レッスンは2時間、最初から最後まで入念に練り込まれており、子どもが最後まで飽きることなく課題に取り組んでいました。そして、最後には恥ずかしがることなく、何と「私の幸福論」を発表しました。ヒルティ、ラッセル、アランに続く4大目の幸福論の誕生です〜きらり☆
特に驚いたのは、保護者役のおとなとの対話中に、子どもの「幸福をもたらすもの」への思い、考えが溢れ出してきたところです。子どもの心の中にある切なる想い、願いが圧倒的に迫ってきて、泣き出しそうな感覚になりました。
このレッスンの手法は、おとな(保護者や施設職員・里親)が子どもと話し合うとき、子どもの本当の気持ちや思いに共感するのに、とても有効な方法だと確信しました。しかし、子どもの思いを引き出すには、おとなの度量が試されます。
「話を聞く」といいつつ、意見を誘導することはないだろうか?おとなが自分自身の思考や度量に気付かされるレッスンでもありました。児童福祉や教育、養育に役立つ素晴らしいレッスンが生まれたと考えます。これから社会にどんどん広めるのは私のお役目と思います。
実は最近、子どもに対話力をつけさせたいと願いつつ「物言えば唇寒し」で、自分自身は「喋らない方が得策か」と悩むようになっていました。何か話せば誤解されたり、誰かを傷つけたり、相手を言いくるめたり、その場は自分だけスッキリして、良い結果はもたらさないからです。
昨今、子どものアドボカシー(意見表明)を聞くという機運が高まりつつあります。しかし、子どもは場の雰囲気や相手の巧妙さに押し流されて、指示待ちだったり、意見が言えなかったり、そもそも自分が何を考えているのか?子ども自身が分かっていない場合が多々あります。
長文を一言でいうと、驚きのレッスンでした。聞く力、話す力を学ぶことで子どもの自己肯定感を高める「対話デザインレッスン」の第2世代が誕生しました。何カ月も創意工夫を重ねられた先生方に深く感謝します。きっとお三方のご尽力が子どもたちの笑顔に結実することでしょう。