子どもデザイン教室ブログ
アイデアをぱくるとは?
takorockな毎日 | 2015.09.03(木) | No Comments
今回の類似問題で気になるのは「似ている=罪」と捉えられる点だ。これはデザイン=技術と、アート=美術を混同していることが原因だ。それはエンブレムといったグラフィックデザインの歴史的な出所が美術にあるからだ。
美術は本能的にオリジナル、無垢に拘るから「似ている=罪」と捉えられがちだ。しかし、グラフィックデザインはそうした美術的な側面を持ちつつ、時代の変遷とともに、今ではマーケティングデザインの一表現手段となっている。
グラフィックデザインは、情報を端的に伝える使命があるため、どうしても単純な丸や線が使われ、その結果として似て見えてしまう。ただし、問題はそれが意匠となって他と同じになればそれは罪になる。なぜなら意匠は法律で権利保障されているからだ。
ネット批判のなかに「アイデアをぱくった」という記事があったが、これは誤用である。「あいつこの前、深呼吸して空気をぱくっていたよ」とは言わない。アイデアは使うもの、利用するものである。アイデアは技術だから誰が使ってもいい。罪ではない。
グラフィックデザインは、美術的な側面をもつ視覚伝達技術である。今回の類似問題でも、もし事前に佐野氏が先行案を見ていたとしても、一般的なアイデアを単に利用したのであれば問題ない、と私は考える。問題は、そこからいかに新しい意匠を生み出せるかだ。