子どもデザイン教室ブログ
自分の人生が設計できるデザイナー
デザイン教室 | 2012.12.21(金) | No Comments
子どもデザイン教室の活動が多くの方に知って頂けるようになり、『子どもたちをデザイナーに育てているの?』とご質問を頂くようになりました。少し長いですが、ここでそのお答えをさせてください。
デザインの時代、といわれてもう何十年になります。しかし、デザインを専業とすることが難しい時代になってきました。私は高校や研究所での授業でも「デザイン(が)できる人」ではなく、「デザイン(も)できる人」が求められているのだと話しています。
この原因は市場の縮小と変化です。特に広告デザインの場合、コンピュータとインターネットの発達も挙げられます。そのため、誰もが手軽にデザインができ、情報の伝え方と速度が変わり、専門性のニーズがなくなってきました。
誰もがデザインできる、まさにデザインの時代です。しかし残念ながら、専門職デザイナーの時代ではなくなりつつあります。それは魚の減っていく濁り池で釣りをするようなもので、今後、釣り人のリスクは増えていくでしょう。
世の中の流れはエスカレータです。上り方向もあれば、下り方向もあります。どの流れに乗るかは重要で、一度乗ってしまうと途中では降りられません。降りるべき場所で決心して降りないと、世の中の流れは自分では変えられないのです。
デザインを専業とすることは、明らかに下りエスカレータです。その証拠にそれが上りエスカレータであることを論証できる人はいません。しかし、デザインの知識を異業種で活用することは、様々な上りエスカレータに乗れることを意味します。
なぜなら、デザインとはかっこよさや美しさだけでなく、便益をもたらす企画・設計力のことだからです。この普遍的な技術力=論理思考を小さい頃から会得しておけば、日本に限らず様々なステージで戦える「デザイン思考のできる人」になれると思います。
今、私はこの武器の使い方を模索し、この暗雲立ちこめる日本社会を軽やかに駆け抜けるすべを子どもたちに伝授しようと考えています。そういう意味で、私は特定業種のデザイナーではなく、子どもたちを「自分の人生が設計できるデザイナー」に育てています。